TP-Link Research:さくっとまとめ
「安すぎるけど大丈夫?」の疑問に答える分析
実は「世界シェアNo.1」の巨大企業
TP-Linkという名前を初めて聞く人にとって「怪しい新興メーカーでは?」という不安はつきものです。 しかし、データを見ると実態は「Wi-Fi機器市場の巨人」であることがわかります。 10年以上連続で世界シェアNo.1を維持しており、世界170カ国以上で利用されています。
(連続獲得)
※IDC Worldwide Quarterly WLAN Trackerデータ等に基づく
なぜ他社より安いの?
「安い=品質が悪い」ではありません。TP-Linkの安さの理由は「自社製造(垂直統合)」にあります。 多くのメーカーは製造を外部委託しますが、TP-Linkは部品から組立まで自社工場で行い、中間コストを徹底的に削減しています。
(+マージン)
コストダウンの3大要素
中国メーカーだけど大丈夫?
「データが抜かれるのでは?」という懸念に対し、現在はグローバル基準のプライバシー保護を明確にしています。
Data Flow Simulation
(日本)
サーバー
サーバー
ボタンを押してデータの行き先を確認してください
🛡️ GDPR準拠
世界で最も厳しいと言われるEUの個人情報保護規則(GDPR)に準拠しており、データの透明性が確保されています。
🔒 HomeShield
ルーターのセキュリティ機能には、Avira社などの専門企業の技術が採用されており、外部からの攻撃を防ぎます。
総合評価:買うべき?
🙆♂️ おすすめな人
- ✓ とにかく高速なWi-Fiを安く導入したい
- ✓ スマホアプリで簡単に設定したい
- ✓ メッシュWi-Fiで家中の死角をなくしたい
🙅♀️ 不向きかもしれない人
- ✕ 電話で手取り足取りサポートしてほしい
- ✕ 国家機密レベルの業務データを扱う
FINAL VERDICT
結論:一般家庭には「最強のコスパ」
セキュリティリスクは適切に管理されており、世界No.1の実績が製品の安定性を裏付けています。
「安くて速いWi-Fiが欲しい」なら、迷わず選んで良い選択肢と言えます。
Amazonや家電量販店でWi-Fiルーターを探していると、必ずと言っていいほど目にするのが「TP-Link(ティーピーリンク)」というメーカーです。「性能が良くて、しかも安い!」と驚いてカートに入れそうになる一方で、ふとこんな不安が頭をよぎりませんか?
「これ、中国メーカーだよね? セキュリティとか大丈夫なの…?」 「安すぎて逆に怪しい。個人情報を抜かれたりしない?」
その気持ち、痛いほどよくわかります。ネットで検索すると「危険」「バックドア」なんて不穏なサジェストが出てくるし、どうしても警戒してしまいますよね。
カッパパ結論から言うと、TP-Linkは現在、「脱中国化」を進めてグローバル企業へと生まれ変わっており、一般的な家庭で使う分には過剰に恐れる必要はありません。
この記事では、IT機器に詳しくない方でもわかるように、以下の3つのポイントを徹底的に調査しました。
- 「怪しい」と言われる理由と、本当のセキュリティリスク
- 日本独自の回線(v6プラス)で「繋がらない」トラブルの正体
- バッファローやNECなどの国内メーカーと比べて、結局どっちが買いなのか
断片的なネットの噂ではなく、客観的な事実に基づいて「TP-Linkの正体」を丸裸にします。読み終わる頃には、あなたがTP-Linkを選ぶべきか、避けるべきかがハッキリしているはずです!
TP-Linkはどこの国の会社?「怪しい」と言われる理由と現在の姿


「TP-Linkってどこの国の会社?」と聞かれたら、答えは少し複雑です。多くの人がイメージする通り、もともとは中国で生まれた企業ですが、現在はその枠組みを超えた動きを見せています。
まずは、会社の基本情報を整理しておきましょう。
創業は中国、でも今は「2本社体制」のグローバル企業
TP-Linkは1996年に中国・深センで創業されました。創業当初はPCパーツを作っていましたが、その後無線LANルーター市場に参入。部品の製造から組み立てまでを自社で行う「垂直統合モデル」によって、圧倒的なコストパフォーマンスを実現し、成長しました。
現在では世界170カ国以上で製品を展開し、無線LAN機器プロバイダーとして12年連続で世界シェアNo.1を獲得しています。つまり、ポッと出の怪しいメーカーではなく、世界で一番使われているルーターメーカーなのです。
TP-Link社の公式サイト:https://www.tp-link.com/jp
「脱中国」への本気度がすごい
ここが一番重要なポイントなのですが、近年の地政学的リスク(米中摩擦など)を受けて、TP-Linkは大規模な「脱中国化」を進めています。
具体的には、2022年から組織再編を行い、2024年には以下の「2本社体制」への移行を完了させました。
| 拠点 | 法人名 | 役割 |
| シンガポール本社 | TP-Link Corporation Pte. Ltd. | グローバル事業の統括、持ち株会社 |
| 米国本社 | TP-Link Systems Inc. | 先端技術の研究開発、マーケティング |
日本の法人である「ティーピーリンクジャパン」も、現在は中国法人ではなく、このシンガポール法人の傘下にあります。
これは単なる書類上の話ではなく、データプライバシー規制の厳しい欧米市場で生き残るために、「中国企業」というレッテルから脱却しようとする生存戦略です。HUAWEIやZTEのように米国から完全排除されているわけではなく、一般消費者向け製品としては一定の信頼性を担保する構造に変化しています。



正直、「中国製=全部危険」と決めつけるのは今の時代、ちょっともったいない気がします。iPhoneだって部品や組み立ては中国ですしね。
TP-Linkが面白いのは、国籍を隠すのではなく「法的に本社を移す」という荒技を使ってまで、世界市場に適応しようとしている点です。これだけの規模でシェアトップを維持しているのは、単純に「物が良くて安いから」という事実は無視できません。「安かろう悪かろう」の時代は、もう終わっているのかもしれませんね。
【検証】TP-Link製品のセキュリティは本当に危険なのか?


しかし、これらの噂の元となった事件を詳しく調べてみると、「メーカーが悪意を持って情報を盗もうとした」わけではないケースがほとんどであることがわかります。
過去にネット界隈を騒がせた2つの大きな事件について、その「真相」を分かりやすく解説します。
事件1:Aviraへの大量データ送信問題(2022年)
2022年、あるユーザーが「TP-Linkのルーターが、セキュリティ企業のAvira(アビラ)へ大量のデータを送信している」と報告し、大炎上しました。
- 何が起きていたのか?
- TP-Linkの一部ルーターにはAviraの技術を使ったセキュリティ機能が入っています。この機能に関連して、24時間で8万回以上もの通信が行われていました。
- 真相は「個人情報の流出」だったのか?
- いいえ、違います。 調査の結果、これはユーザーの閲覧履歴や個人情報を送っていたのではなく、「Aviraのサーバーはどこですか?」と問い合わせる通信(DNSリクエスト)が、バグによって異常な頻度で繰り返されていたことが判明しました。
- 結論
- これは「スパイ行為」ではなく、「プログラムの設計ミス(バグ)」でした。TP-Linkはこの問題を認め、修正用のアップデートを配布しています。お粗末なミスではありましたが、悪意あるバックドアとは性質が異なります。
事件2:「Horse Shell」バックドアと中国ハッカー(2023年)
2023年には、セキュリティ研究チームが「TP-Link製ルーターから『Horse Shell』というバックドア(裏口)が見つかった」と発表しました。
「やっぱりバックドアがあったじゃないか!」と思われがちですが、これにも重要な誤解があります。
- 誰が仕込んだのか?
- これはTP-Linkが製造段階で仕込んだものではありません。「Camaro Dragon」と呼ばれる中国系のハッカー集団が、外部から攻撃を仕掛けて埋め込んだものです。
- どうやって侵入されたのか?
- ハッカーは、古いファームウェア(更新されていない状態)の脆弱性や、推測されやすいパスワードを悪用してルーターを乗っ取り、自分たち専用の裏口(バックドア)を作りました。
- 結論
- これはTP-Link製品自体がスパイウェアだったわけではなく、「メンテナンスされていないルーターは、ハッカーの踏み台にされやすい」という事例です。実はこれ、CiscoやASUSなど他社製品でも同様に起きている業界全体の問題です。
プライバシーポリシーとデータの行方
「じゃあ、TP-Linkは私のデータを全く集めていないの?」というと、それも嘘になります。
現在の便利なWi-Fiルーター(アプリで管理できるタイプ)は、GoogleやAppleと同じように、「サービス向上のための利用データ」や「アカウント情報(メールアドレス)」を収集しています。
ただし、日本のユーザーのデータが中国政府に直送されているという証拠はありません。現在のTP-Linkは、AWS(Amazonのクラウド)などのグローバルなインフラを利用しており、各国の法規制に準拠した運用を行っています。



ぶっちゃけ、「絶対に安全なルーター」なんてこの世に存在しません。どんなメーカーの製品でも、更新をサボれば穴だらけになります。
日本のネット環境(v6プラス)で「繋がらない」は過去の話?


「TP-Linkは日本の回線と相性が悪い」「夜になると切れる」 数年前の口コミを見ると、こうした意見がちらほら見受けられます。これは本当なのでしょうか?
実は、日本のインターネット環境(NTTのフレッツ光など)は、「v6プラス(IPoE)」という世界的に見ても特殊な通信方式が主流になっています。海外メーカーであるTP-Linkにとって、この「日本独自のガラパゴス仕様」への対応は、確かに最初は高いハードルでした。
結論:今のモデルは「日本専用仕様」で完全対応済み
数年前の古いモデルでは、確かに設定が難しかったり、接続が不安定になることがありました。
しかし、現在販売されているモデル、特に型番の末尾に「V」が付く製品(例:Archer AX23Vなど)は、日本市場のために開発された特別仕様です。 これらは日本の主要なプロバイダー(v6プラス、OCNバーチャルコネクトなど)に完全対応しており、国内メーカーのルーターと遜色ない安定性を実現しています。
「繋がらない」の犯人は、ほぼ「二重ルーター」
では、なぜ今でも「不安定だ」という口コミがなくならないのでしょうか? 調査の結果、その原因のほとんどは「二重ルーター(ダブルルーター)」という設定ミスにあることがわかりました。
日本の家庭では、NTTなどから貸し出される黒い箱(ホームゲートウェイ)自体に、すでにルーター機能が入っていることが多いです。 ここに、何も考えずにTP-Linkのルーターを繋ぐと、「家にルーターが2人いる状態(司令塔が2人いる状態)」になり、通信が混乱してしまいます。これが「遅い」「切れる」の正体です。
これをやれば解決!「ブリッジモード」への切り替え
もしTP-Linkを買って「なんか不安定だな」と思ったら、まずは以下の対策を試してください。劇的に改善するケースが多いです。
- 「ブリッジモード(アクセスポイントモード)」にする
- ルーターとしての機能をOFFにして、単なる「Wi-Fiを飛ばす機械」として使う設定です。アプリから簡単に切り替えられます。
- DNS設定を変更する
- 稀にプロバイダー側の応答が遅い場合があります。ルーターの設定でDNSサーバーを「8.8.8.8(GoogleのDNS)」などに手動設定すると、サクサク動くようになることがあります。



バッファローやNECなどの国内メーカー品は、最初からこの辺りを自動でうまくやってくれる機能(オート設定)が優秀です。一方でTP-Linkは、「自分でちょっと設定を変えるだけで、爆速になるポテンシャルを持っている」という感じです。
国内メーカー(NEC・バッファロー)と比べてどっちが買い?
TP-Link製品の総合評価チャート
ユーザーレビューやテック系メディアの評価を総合したプロファイル
速度・価格・アプリの評価は非常に高い。
サポートの手厚さは国産メーカーに譲る傾向。
「やっぱり安心の日本製がいいかな…」と迷っているあなたへ。
分かりやすく表で比較してみましょう。
| 比較項目 | TP-Link | 国内メーカー (Buffalo / NEC) |
| 価格と性能 | コスパ最強 最新スペックでも国内品の6〜7割の価格で買える | 安心価格 ブランド代やサポート費用が含まれるため、割高になりがち |
| 設定方法 | スマホアプリ中心 直感的でモダンな画面。PCがなくてもOK | Webブラウザ中心 細かい文字で詳細設定が可能。用語解説が丁寧 |
| 初心者への優しさ | △ 設定が必要なことも 環境によっては「ブリッジモード」への切り替えが必要 | ◎ 挿すだけでOK 日本の複雑な回線事情に最初からフル対応しており、トラブルが少ない |
結論:あなたはどっち派?
- TP-Linkを選ぶべき人:
- 「とにかく安くて速いのが正義!」というコスパ重視派
- 戸建てや3LDK以上のマンションに住んでいて、電波の飛びを重視する人
- スマホのアプリでササッと管理したい人
- 国内メーカーを選ぶべき人:
- 「機械は苦手。ケーブルを挿すだけで完璧に動いてほしい」という人
- 説明書が分厚くないと不安な人
買ってはいけない人・買うべき人【3年保証の落とし穴】


最後に、TP-Link最大の武器である「3年保証」について、絶対に知っておいてほしい注意点をお伝えします。
国内メーカーの保証期間は通常「1年」ですが、TP-Linkはその3倍の「3年」を謳っています。これは製品の耐久性に自信がある証拠ですが、保証を受けるためのルールが非常に厳しいことでも有名です。
ここに注意!「レシートがないと門前払い」
これが最大の落とし穴です。
たとえ製造番号から「保証期間内であること」が明らかでも、購入証明がなければ保証は拒否されます。
- やってはいけないこと: レシートをすぐに捨てる、Amazonの領収書データを保存し忘れる。
- 覚悟すべきこと: サポート電話(フリーダイヤル)は混雑して繋がりにくいことがあります。また、故障品を送る際の送料はユーザー負担(元払い)になるケースが多いです。
逆に言えば、「レシートさえ保管しておけば」、不具合が認定されると新品に交換してくれるという手厚い対応(いわゆる神対応)を受けられることもあります。



私はTP-Linkのルーターを買ったら、箱と一緒にレシートの写真をスマホで撮ってクラウドに保存するようにしています。これなら無くしませんからね。
「3年も保証してくれるなんて太っ腹!」と飛びつく前に、「自分はちゃんとレシートを管理できる性格か?」を自問自答してみてください。ズボラな自覚があるなら、壊れないことを祈るか、国内メーカーが無難かもしれません。
まとめ:TP-Linkは「正しく使えば」最強のコスパルーター
ここまで、TP-Linkの「怪しさ」の正体や、メリット・デメリットを検証してきました。
結論を言えば、TP-Linkは「怪しい会社」ではなく、合理化を突き詰めた「巨大なグローバル企業」です。
過去にバグによる騒動や、ハッカーによる攻撃を受けた事例はありますが、それは「メーカーが悪意を持って情報を盗んでいる」ということではありません。
TP-Link製品と上手に付き合うための3つの条件:
- アップデートをサボらない: 「Horse Shell」のような攻撃を防ぐため、常に最新の状態に保つ。
- パスワードを強化する: 初期設定のまま使わない。
- レシートを保管する: 3年保証の権利を捨てないようにする。
これさえ守れば、割安で爆速のWi-Fi環境が手に入ります。
あなたの家のネット環境が、より快適になることを願っています!
FAQ(よくある質問)
Q. TP-Linkはどこの国の会社ですか?
A. 創業は1996年の中国・深センですが、現在はシンガポールとアメリカに本社を置くグローバル企業として運営されています。日本の法人(ティーピーリンクジャパン)もシンガポール法人の傘下にあります。
Q. 中国にデータを送信しているというのは本当ですか?
A. 過去に「Avira」というセキュリティ機能に関連して、意図しない大量の通信が発生した事例(バグ)がありましたが、現在は修正されています。また、ユーザーの個人情報や通信内容を無断で中国政府に送信しているという証拠は確認されていません。
Q. 「二重ルーター」とは何ですか?どうすればいいですか?
A. 家の中に「ルーター機能」を持つ機器が2つ重なってしまい、通信が不安定になる現象です。NTTなどのモデム(HGW)にルーター機能がある場合、TP-Link側の設定を「ブリッジモード(アクセスポイントモード)」に切り替えることで解決します。
Q. 保証を受けるために必要なものはありますか?
A. 「購入を証明できるもの(レシート、領収書、納品書など)」と、製品のパッケージ(箱)や付属品が必要です。特にレシートがないと、保証期間内でも断られる可能性が高いため、大切に保管してください。


